vol.419【実践コラム】コロナ関連融資で実力以上の融資を受けられた経営者様
…返済原資のない借入を決して安易に使ってはいけません。
金融機関は「晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘をとりあげる。」と言われるとおり、元来救済機関ではありません。業績が苦しい企業に赤字補填資金を提供するのではなく、黒字の企業をより伸ばすために資金を提供するのが本来の役割です。民間金融機関は営利企業であり、預金者から預かった資金を運用していることを考えれば当然です。
よって、有事の際には、日本政策金融公庫や保証協会等の国の機関が政策に則ってセーフティネット融資を行います。現在、コロナ関連融資が発動されていますが、これは通常の融資ではなくセーフティネット融資であることをしっかりと認識しましょう。
先日ご相談に来られた企業様のケースです。(借入の相談ではなかったのですが)試算表を見ると年商規模は5,000万円であるのに対して社長への貸付金が1,000万円発生しています。お聞きすると、「コロナの影響は実際あまり受けていないが銀行から提案があり、日本政策金融公庫と保証付き融資で2,000万円の融資を受けた。口座に置いていても仕方がないので1,000万円を知人が始めた新規事業に出資した。」とおっしゃいました。具体的な回収の計画もないようです。
ここまで極端な例は少ないと思いますが、お金をたくさん持つと使いたくなる経営者は結構いらっしゃるようです。しかし、借りたお金を深く検討せずに流出させるのは大変危険です。今後の経営を限りなく難しくします。
コロナ関連融資は雨の日にしか出ない特殊な融資です。通常の融資は金融機関が審査を行い返済可能な金額を融資しますが、コロナ関連融資は特殊な融資ですので、ある程度返済能力を無視して融資を行っています。
ご相談に来られた企業様も、現在のキャッシュフローでは到底返済できないコロナ関連融資を受けており、現状のままでは返済が始まる3年後に資金が回らなくなる可能性があります。さらに、調達した資金を本業以外に使ってしまっているため、今後の資金調達も望めません。
コロナ関連融資を利用して実力以上の借入をすることは問題ではありません。使い方に注意が必要です。調達した資金は遅れて出てくるコロナの影響に備えて保有しておくか、検討に検討を重ね、3年後にキャッシュフローを倍増させるための投資に使うのが有益です。決して安易に使ってはいけません。