vol.462【実践コラム】税務と財務

…税理士さんに財務も任せていると錯覚していませんか。

中小企業経営における再優先事項は「営業」や「マネージメント」ですので、「税務」や「財務」について、深く意識する機会は少ないと思います。

何となく一括りで語られることが多い「税務」と「財務」ですが、実は明確に違います。そして、自社に「財務」の機能が備わっていないことを認識している企業は少ないと感じます。

弊所のホームページを見てご相談に来られた社長様の話です。

  • 現在決算作業中であるが、ある不動産の取引について、銀行からの評価が下がる会計処理をされた。
  • 税理士さんに処理方法の変更を依頼したが「出来ない」と言われた。
  • 「出来ないはずはない」と感じたため、複数の知人を頼って知恵をもらったところ、可能な処理であることが分かった。
  • 税理士さんにその結果をお伝えしたらようやく変更してもらえた。
  • 税理士さんはプロだと思って任せているが、なぜこのようなことを会社側が気にしなくてはならないのか?本来は税理士さんの方から提案してくるべきことではないのか?

当事務所にご相談に来られる社長様が必ず口にされるセリフは、「今の税理士さんは少しも〇〇なアドバイスをくれない。」というものです。〇〇に入る内容は概ね財務に関することですが、当事務所では、「先生は何も間違っていませんよ。」といつもお答えしています。

税理士さんは、その名の通り税務のプロであり、今回の処理も税務上は全く正しい処理です。社長様が、税理士さんに税務面だけでなく、財務面もコンサルティングして欲しいと依頼しているならば別ですが、そうでなければ税理士さんはしっかりと責務を果たしています。問題は、税理士さんに依頼しているのは税務面のアドバイスであるにも関わらず、財務面も任せていると会社側が錯覚してしまっていることです。

先述の社長様は鋭い感覚をお持ちでしたので、結果的に財務目線でも評価される決算処理を行うことができましたが、一般的には、財務面も見てもらっていると思い込み、税務上は問題ないが、融資判定で不利になるような決算書を金融機関に提出しているケースもあると感じます。

先述の社長様から、「税務と財務の違いは理解できたが、会社側に財務の知識もないのに今後はどのように対処すべきか?」とご質問がありました。

中堅企業以上には財務部長がいます。しかし、中小企業で財務に明るい人材を置いている企業は殆どありません。まさに、社長様のご質問こそが中小企業が抱える大きな課題です。

弊所では、税務だけでなく、財務の目線で中小企業経営をサポートする「財務部長の代行サービス」をご用意しています。
是非、ご相談ください。