vol.536【経営コラム】リスケジュールも財務戦略です!

…資金繰りに余裕がなく、新規の借入ができない会社様は、リスケを検討してください。

長引くコロナ禍、原料価格の高騰等々、資金繰りが悪化する企業様も増えてきました。一方、業績改善の見られない会社様への新規融資は厳しくなっています。新規の借入ができない会社様は、早めにリスケを検討してください。

■リスケジュールとは…

金融機関への返済を一定期間猶予してもらうことで、経営の改善・安定化を図る施策、これも財務戦略の一つです。リスケジュール、リスケと呼びます。

リスケジュールとは、予定を変更することです。その大半は、予定を延ばすこと、金融の分野では債務の返済計画を変更して、返済を繰り延べることを意味します。すべての金融機関の同意と、衡平(※)な割合での繰り延べが必要です。

※衡平性の原則…返済猶予を受ける時は、すべての金融機関に対して原則同じ条件で依頼しなければなりません。A行には返済しながら、B行には返済しない、これは衡平性の原則に反します。(一部例外もありますが)

■リスケジュールを受けられる条件は…

一定期間返済猶予を受けることで、その会社・個人事業者様の経営が健全化することが条件になります。返済猶予を行っても、経営が改善する見込みがない時は、金融機関は返済猶予を受け付けません。

  • 「経営がうまく行っていません。返済する資金がありません。経営が改善する見込みも立ちません。」このケースは、リスケジュールを受け付けてくれません。
  • 「短期的に資金繰りが厳しい状況です。中期的にこのように経営は改善していきます。一時的に返済を猶予いただきたい。経営改善の計画は、経営改善計画書で提示します。」リスケジュールが認められるのは、このようなケースです。

■経営改善計画書作成及びその後の対応のポイントは…

金融機関の同意を得るために必要な計画書を経営改善計画書と呼びます。
※経営改善計画書は、金融機関に提出するためにも必要ですが、その本質は経営改善の道標です。

1.経営改善計画の期間は最長5年以内が目安です。
  • 金融機関目線の経営の健全化・健全な財務とは、債務償還年数が10年以内、かつ、資本正(債務超過でない)であることです。
  • 5年以内に、単年度の簡易キャッシュフロー(=減価償却費+税引き後利益)が、純債務の10分の1以上(債務償還年数10年以内)に到達しなければなりません。併せて、資本正の状態に仕上げる必要があります。

●過度に短期間で完了する経営改善計画書はお勧めできません。結果として、早期の完了は問題ありません。5か年計画をお勧めします。

2.リスケジュール中には、新たな金融支援は受けられません。
  • 金融機関からの新たな資金調達を行わずに、手持ち資金のみで資金繰りを回し続ける計画が必要です。
  • リスケジュールの依頼は、手持ち資金を持ち合わせた状況で行わないと、その後の資金繰り計画が立ちません。ある程度の手持ち資金を残した状況で行います。
  • 同様に、リスケジュール中は、極力返済金額を極小(可能であれば0円)に設定します。手持ち資金のみで経営改善を完遂するためには、一定の資金が必要です。

●リスケジュールは、一定以上の手持ち資金がある状況で行い、かつ、リスケジュール中の返済金額は極小に設定することをお勧めします。

3.リスケジュール計画は、原則毎年1回更新されます。2年以上のリスケジュールを金融機関が受け付けるケースは稀です。
  • 5か年計画に沿って、その進捗を適時金融機関に報告しながら経営改善を進めます。
  • 計画に変更があれば適時計画を見直します。
  • 金融機関は、経営改善計画に沿って、リスケジュールを受け付けた会社様を、継続的にモニタリングする必要があります。継続的に経営状況がわかる資料の提出が必要です。

※モニタリング頻度は、状況によって変わりますが、毎月または3ヶ月毎が一般的です。

●リスケジュール中の金融機関対応は、特に丁寧に行ってください。

金融機関への返済で資金繰りが悪化している局面において、足元の経営状況を鑑みて新規の借入れが出来ない状況が続きそうな時は、リスケジュールの検討が必要です。この時は、経営改善計画書の立案・提出が必須です。

銀行融資プランナー協会の正会員事務所である当事務所は、財務戦略の一環として、時に最善なリスケジュール戦略のご提案と経営改善計画書の作成、その後の継続的な金融機関対応を行います。
まずは、早めにご相談ください。