vol.701【実践コラム】銀行に相談するタイミングについて
…資金が減ってからではなく、基準を下回りそうな段階が動きやすいです。
銀行対応で差が出るのは、話し方よりも相談のタイミングです。
今回は、銀行に相談するタイミングをどう考えるかを整理します。
銀行に相談する場面は、大きく二つあります。
- 資金が必要になったとき。
- 資金が必要になりそうなとき。
経営に効いてくるのは後者です。
資金が足りなくなってからの相談は、選択肢が少なくなります。
融資の審査時間を確保しづらくなり、資料準備も慌ただしくなります。
銀行側も、状況が切迫しているほど慎重になります。
結果として、条件面でも不利になりやすくなります。
相談のタイミングを判断する基準として、キャッシュポジションを使う方法があります。
最低でも月商一か月分以上のキャッシュを維持する。
この基準を下回りそうな段階で、銀行に状況を共有する。
この動き方ができると、余裕を持って選択肢を整理できます。
例えば、今は月商一か月分以上のキャッシュがあるとしても、数か月後に賞与や納税、設備投資が重なり、残高が基準を下回る見込みがある。
この段階で相談しておけば、借入の要否、借入額、実行時期を落ち着いて検討できます。
銀行にとっても、余裕がある段階の相談は好まれます。
資金繰りを管理している会社として受け止められます。
先に共有があると、銀行側も社内調整を進めやすくなります。
一方で、資金が厳しくなってからの相談は、説明の焦点がずれやすくなります。
- なぜ今のタイミングになったのか。
- 手元資金がどこまで減ったのか。
- 今後の入金見通しはどうか。
こうした確認が中心になり、事業の将来よりも、目先の資金繰りの話に偏りがちです。
相談のタイミングが早い会社は、会話の質も変わります。
資金繰り表を見ながら、次の三点を整理して伝えられます。
- 基準を下回る見込みがいつ頃か。
- 下回る原因は売掛金、在庫、投資、返済、季節要因のどれか。
- 対策として何を検討しているか。
この整理ができていると、銀行側は判断しやすくなります。
融資の相談でありながら、経営の管理体制を評価してもらう場にもなります。
銀行への相談は、困ったときの駆け込みではなく、経営判断の一部として組み込む方が安定します。
月商一か月分というキャッシュの基準は、相談のタイミングを決めるうえでも有効です。
基準を守るために早めに動く。
この姿勢が、銀行との関係を長期的に安定させます。

