vol.703【実践コラム】社長が決算書を経営に使うための第一歩について

…損益計算書だけでなく、貸借対照表まで含めて見ると判断が安定します。

三月は、決算書を経営に使うというテーマでお話ししていきます。
決算書は税務申告のための資料として扱われがちですが、経営判断の材料として使える部分が多くあります。

決算書を経営に使う第一歩は、損益計算書だけで判断しない姿勢を持つことです。
利益が出ているかどうかは重要です。
ただし、利益だけ見ていると、資金繰りの変化に気づくのが遅れます。

貸借対照表には、会社のお金がどこにあるかが表れます。
現預金に残っているのか。
売掛金として外に出ているのか。
在庫として倉庫にあるのか。
設備として固定されているのか。
同じ利益でも、貸借対照表の姿が違えば、会社の体力は大きく変わります。

貸借対照表を見るときの基本は、増えたものと減ったものを確認することです。
売掛金が増えていれば、売上が伸びた可能性があります。
同時に回収が遅れている可能性もあります。
在庫が増えていれば、販売に備えた仕入れの可能性があります。
同時に売れ残りの可能性もあります。
増減の意味を、事業の動きと結びつけて考えることが重要です。

決算書を見ているつもりでも、実際には損益計算書だけで安心してしまうケースがあります。
黒字だから大丈夫という感覚は、資金繰りと食い違いやすい考え方です。
一月にお伝えしたとおり、キャッシュポジションは最低でも月商一か月分以上を意識したいところです。
この基準に照らすと、利益が出ているのに現預金が減っている状態は見逃せません。

決算書を経営に使う会社は、数字のつながりを意識しています。
損益計算書で出た利益が、現預金として残っているのか。
売掛金や在庫として外に出ているのか。
借入金の増減と合わせて、資金の動きを読み取っています。

難しい分析は必要ありません。
社長が確認するだけで効果が出やすい視点は次の三つです。

  • 売上と利益の前年差
  • 売掛金と在庫の増減
  • 現預金と借入金の増減

この三つが並ぶと、会社の一年の動きが見えてきます。

三月は、この決算書の見方を、社長目線で実務的に整理していきます。
次回は、損益計算書をどの順番で見ると判断がぶれにくいかをお話しします。