vol.459【経営コラム】アフターコロナ、財務力が問われます。

…コロナ禍で被ったBSの棄損を処理する長い旅路が始まります。

アフターコロナの財務力についてお話しします。

コロナ禍の終焉は、ワクチンが広く接種される時期、本年の秋以降ではないでしょうか。ワクチンの効用は別にして、多くの人たちが安全の概念ではなく安心、受け入れの境地に立った時、他の感染症と同じ対応になるのでしょうか。

日本のGDPは令和2年に約100兆円強、20%が消失しました。
今期も50兆円ぐらい減じるとみて、コロナ禍における損失は約150兆円、これが減収額です。経済政策で補填できない部分、中小企業がPLで被る金額、減益額は、想像ですが数十兆円ぐらいにはなりそうです。過去の蓄財を吐き出しても補いきれない額は多分10兆円ぐらい、これくらいの資金を長期間に渡って返済していかねばなりません。

◆PLが健全化できそうな会社に対する国の対応は…

国は、コロナ禍で生じた赤字は特別損失と見なし、返済を超長期まで引き延ばせる施策を打ち出してくるはずです。PL審査で新規の融資も実施しながら、積極的な支援を続けるはずです。場合によっては、(期待薄ですが)DES(デッドエクイティースワップ)で株式に転換し、備忘価格でオーナーが買い戻すなど、実質的な棒引きを行ってくれる可能性もありそうです。

  • ⇒PLを合わせる、黒字化を図る、コロナ禍でダメージを受けた会社様も、できるだけ短期間に黒字化を達成しなくてはなりません。BSが痛んで債務超過に陥ろうとも、PLを整えましょう。足元の収支がバランスしておれば、コロナ禍起因の棄損は説明が付きます。コロナ融資や事業再構築補助金を存分に活用して、とにかく黒字化を図ってください。
◆PLが健全化できそうにない会社に対する国の対応は…

上記と同様に、返済を超長期まで引き延ばせる施策を打ち出してくるはずですが、健全でないPLに対する新たな融資付けは難しく、リスケを繰り返しながら時間を稼ぐことしかできません。
最終的には整理することになります。

コロナ禍の融資対応は簡単でした。
国策として提供された「雨傘融資」の要件は、「コロナ禍の影響で売上が落ちたので融資をお願いしたい。」のみであり、極めて容易に資金調達ができました。

アフターコロナは徐々に平時に戻ります。
一方、アフターコロナ、平時に実施される「日傘融資」の要件は、返済原資の有無であり、事業体の健全性です。180度、その融資方針が転換します。

春以降、有事「雨傘」から平時「日傘」に徐々に転換するプロセスを迎えるに当たり、コロナ禍で生じた損失補填のための融資金返済に迫られます。数年以上経過し、平時に完全に戻った時には苦境に立たされる企業様も少なくないはずです。

◆財務戦略を持ってください。

当事務所では、アフターコロナの状況を想定し、クライアントに対する財務支援体制の充実を図っています。コロナ禍で被ったBSの棄損を処理する長い旅路の伴走者としての役回りを担わせていただきます。