vol.498【経営コラム】創業の難易度
…創業で成功するための4つの要素!
『何を?』と『誰に?』の少なくとも一方を持ち合わせ、『高めの価格設定』で、『ITリテラシーは高く』『資金力(調達力も含めて)を有する』創業は成功確率が高くなります。
『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』、この4つの要素の組合せがビジネスモデル(の概況)です。創業や新規事業を起こす時に、これらの4つの要素をすべてゼロから構築する計画は大変難解です。特に、『何を?』と『誰に?』の2要素の内の一つは、すでに持ち合わせたモノを利用することをお薦めします。
◆ケース1:既存の商圏から、『何を?』と『誰に(顧客)?』を持ってくる創業は比較的容易です。
前職の会社で、自身が扱っていた商品とサービスを、一部の顧客ごとそのまま横滑りさせて起業するケースは、初期の立ち上げが容易です。デスバレーもほとんど作らずに、初年度から相応の売上と黒字を出せる会社様の大半はこのケースです。ただし、前職の会社との折り合いがついていなければ、トラブルを誘発する可能性もあります。注意が必要です。また、その後事業が停滞する確率が高いのもこのケースです。そもそも既存の商圏の一部を移転させたわけですから当然です。新たなイノベーションを付加することが求められます。
◆ケース2:『何を?』と『誰に?』の2要素をゼロから作る創業は大変難解です。
商品やサービスが現存せず、顧客も持ち合わせていない状態での創業です。そのマーケットが相当有望であったとしても、大きな先行投資が必要になります。デスバレーも深く長いものになります。ビジネスに対する知見と資金力を有する者のみが挑戦できる創業と考えてください。頓挫する確率の高い創業です。
※ただし、これを立ち上げられる経営者は、その後の大化けが期待できます。
◆ケース3:『何を?』を持っていて、これから『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』を創造する創業が一般的です。
自身の得意な『何を?』、商品やサービスを有している状態で、顧客を創造するケースです。相応のデスバレーは存在しますが、ケース2のデスバレーよりは、はるかに小さいはずです。
※ケース3よりはレアですが、『誰に?』を持っていて、『何を?』を創造する創業もあります。
- 『何を?』と『誰に?』を共に有する創業は…◎
※成長余力は弱含みです。 - 『何を?』を持ち合わせた創業は…○
- 『何を?』も『誰に?』も持ち合わせていない創業は…×(難解)
※大化けするケースもあります。
大変大雑把な分類ですが、判断基準として有意性があります。
◆ケース4:『いくらで?』を高めに設定できる創業者様と、安めに設定してしまう創業者様がいます。
- 高めに設定できる創業は…○
- 安めに設定する創業は…×
これも有意性があります。
◆ケース5:ITに関するリテラシーの高い創業者様と、そうでない創業者様がいます。
- ITリテラシーの高い創業者様は…○
- ITリテラシーの低い創業者様は…×
これも有意性があります。
◆ケース6:資金力(調達力も含めて)のある創業者様と、そうでない創業者様がいます。
- 資金力(調達力も含めて)大の創業者様は…○
- 資金力(調達力も含めて)小の創業者様は…×
これも有意性があります。
◎『何を?』と『誰に?』、少なくとも一つを持ち合わせ、『高めの価格設定』で、『ITリテラシーは高く』、『資金力(調達力も含めて)の有る』創業者様は、その成功確率が高いようです。
入社した時、その会社にはすでにビジネスモデルが存在し、ある程度円滑に機能しています。新入社員は、このビジネスモデルに沿って、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』の4つの要素の一部を担います。その地位が上がっても、その関与する範囲を拡大させるだけで、過去のビジネスモデルを踏襲するケースがほとんどです。結果として、ほとんどの人が、『何を?』『誰に?』『いくらで?』『どのように売るのか?』を真に創造したことがありません。
過去のビジネスを踏襲しながら改善することと、ゼロから創造することには雲泥の差があります。創業や新規事業をはじめる時には、肝に銘じてください。