vol.554【経営コラム】事業計画の要諦は、事業立地を成長分野に転換することです!(その2)
…創業以来、先代以来、ずっと同じことを行っていませんか?
前回号のつづきです。
■何十年間も同じことを繰り返している会社は少なくありません。
創業以来、先代以来…ずっと同じことを行っています。事業を創る、事業立地を見直す、イノベーションを企てる、これらの発想すらありません。それでも、社長は、従業員も皆まじめに?働いています。この会社は、静かに衰退をたどりながら、時に急激にその使命を終えることになります。
「今年生まれた子供たちが、二十年後に就職する会社の半分は、今存在しない会社だ」と言われています。二十年で会社の半分は入れ替わるとの仮説です。多分そうなるのでしょう。AIに取って代わられる業種、話題を呼んでいますが、自社がその中に入っているのかの心配には及びません。すべての会社が時代に取って代わられるからです。
変化しなければ会社は存在意義を無くします。時代毎のニーズに対応することが生き残るための条件です。経営は、連続的な小さな変化を続けて行かなければなりません。この小さな変化は、時間を経て大きな変化を遂げます。激変したように見える会社も、小さな変化の積み重ねです。
■「事業計画を策定する」このテーマについて言及しています。
事業計画は、変化のための種です。何をどう変えて、○○までにどのように変化させるか!この仮説こそが事業計画です。過去の流れを踏襲するだけの数値計画を作って満足してはいけません。
■事業計画作成時の重要度
※事業計画作成時には、以下の要素が含まれているか確認してください。
- 事業立地の見直し・イノベーションの付加ができているか?…重要度S
- 収益モデルの創造・見直しができているか?…重要度S
- 現状の認識は十分か?…重要度A
- (仮)のゴール〔マイルストーン〕の設定はできているか?…重要度S
- 全体を包括する整合性の取れた数値計画ができているか?…重要度A
- 数値計画と資金計画との整合性を確認できているか?…重要度B
- マネージメント体制は成長についていけそうか?又は、妥当か?…重要度B
- 日々修正しながら現実的に対応できているか?…重要度S
■経営者の仕事は、事業立地とビジネスモデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し以外にありません。
経営者の仕事は何?あれもこれも…たくさんありますが、重要度で下位から消去して最後に残るのは、「事業立地とビジネスモデルの検証・構築、すなわち事業計画の立案・見直し」です。であるにも関わらず、大半の経営者はこれらの仕事をぞんざいにしています。故に、経営者不在の企業体になり下がっています。創業時に考えたビジネスモデルや、親から受け継いだビジネスモデルを進化・発展させることなくただただ継続しています。事業計画と称して、過去の事業の時間軸を先に延ばして置き換えるだけの数値計画を作って自己満足しています。体裁の良い数値計画は事業計画ではありません。肝に銘じてください。
■経営者には3つの胆力が必要です。
経営にウルトラCは滅多にありません。一つ一つ理詰めで考え抜く、一つ一つ確実に行動に移す、都度調整しながら継続して積み上げていく…この行為を粛々と続けていくことこそ王道です。
- ◎理詰めで考える知力と、これを継続する知的胆力
- ◎確実に行動し続ける行動力と、これを継続する肉体的胆力
- ◎中々上手く行かないことに耐える耐力、これを継続する精神的胆力
経営者には3つの胆力が必要です。
■事業計画とは、江戸時代に中国の奥地の○○を目指す長い旅の旅程表のようなものです。
存在自体が不確実なゴールに向かって、一歩ずつ歩みを続けて行かねばなりません。(江戸時代に)日本から中国の奥地を目指すなら、まずは大陸に渡る手立てを考えます。渡れる航路を求めて港に向かいます。そのためには、港に向かうための旅費が必要になります。大陸に渡っても、続く道の存在は不確実です。それでも渡ります。ゴールまでの旅費の算段が読めなくても、それでも一歩ずつ前に進みます。これらの過程では、様々なトラブルにも見舞われることでしょう。トラブルをできるだけ避けながら、遭遇したら解決しながら、不確実なゴールに向かって歩み続けます。この旅路にゴールは存在しません。
経営とは、ゴールではなく、そのプロセスそのものであるように思います。
知的胆力と肉体的胆力、そして精神的胆力を鍛えながら、経営という長旅に共に挑んでいきましょう。
楽しみながら。
本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
感謝・合掌