vol.593【実践コラム】PL脳からの脱却のすすめ
…朝倉祐介著ファイナンス思考のご紹介
朝倉祐介氏は、「ファイナンス思考」という著書で、損益計算書(PL)の数字に短絡的に固執する考え方(PL脳)から抜け出し、長期的な価値向上を目指す戦略的な思考を提案しています。
<以下要約です。>
PL脳とは、売上や利益などの損益計算書上の指標を最大化しようとする短期的な思考を指します。この考え方が、日本企業の長期的な成長を妨げ、失われた10年が30年に広がる原因となっています。
ファイナンス思考は、企業価値を最大化し、長期的な視点で事業戦略や財務戦略を総合的に考える思考法です。企業のエッセンスは、社会的な価値の提供であり、その対価としてお金を受け取ることです。
ファイナンス思考の特徴は、企業が3つの市場で評価されること(財市場、労働市場、資本市場)で、これらの評価を長期的な目標に合わせることが経営者の役割です。
ビジネスは資金調達、資金創出、資産の最適配分、ステークホルダーとのコミュニケーションの4つの役割で構成され、これらを逆算的かつ戦略的に考えるのがファイナンス思考です。
全ての業務にファイナンス思考が関連しており、従業員が自分の業務がどの部分を担い、どのような成果を期待されているかを理解することが重要です。
アマゾンなどの企業はファイナンス思考を活かし、ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、顧客への価値提供に焦点を当てて成長しています。
日本企業の多くは「PL脳」から抜け出せず、現場でPLを基にした管理が主流です。経営者になる人材の多くも「PL脳」のままであり、これが日本企業の成長を阻害しています。
ファイナンス思考を身につけることで、自身の業務が会社全体のファイナンスとどのように関連しているかを理解し、経営判断に資することができます。
<要約終わり>
2018年に出版された少し古い本になりますが、巨額の赤字を出し続けたアマゾンの戦略等を紹介しながら、短期的な利益ではなく、価値志向、未来志向を特徴とする「ファイナンス思考」を提唱しています。ファイナンス力が弱い一般中小企業が実践するには難しい点もありますが、基本的な企業(事業)の在り方として必要な考え方であると感じます。
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