vol.609【経営コラム】起業家の新しい思考法、エフェクチュエーションとは!

…21世紀経営学の一大発見!

起業家の思考法について、21世紀初頭に大きな発見が成されています。日本においても近年この思考法が脚光を浴びています。
大変有益な思考法です。ご紹介します。

事業を構築するプロセスにおいて、多くの人は『コーゼーション=因果法』を使っていると考えられていました。しかし、大成功した多くの起業家の思考法を検証すると、そうではないことが実証されました。では、どのような思考法なのか?これを体系立てたのが『エフェクチュエーション=実効法』です。比較して紹介いたします。

■昔からあった、『コーゼーション=因果法』とは…

  1. 因果関係に焦点を当てる
    コーゼーションは、原因と結果の因果関係に焦点を当てるアプローチです。つまり、特定の行動や決定が特定の結果を引き起こすという考え方です。このアプローチでは、何が何に影響を与えるかを特定し、それに基づいて戦略を策定します。
  2. 計画と予測を重視する
    コーゼーションのアプローチでは、計画的で予測可能な方法で目標を達成しようとすることが一般的です。計画を立て、それに従って行動することが強調されます。リスクを最小限に抑え、事前の計画に従って進むことが目標です。
  3. 既存のリソースと情報に依存する
    コーゼーションは既存の情報やリソースに依存し、それを活用して目標を達成しようとします。過去の経験やデータに基づいて意思決定を行います。不確実性を減少させるためにデータ分析や市場調査が重要視されます。
  4. 大規模プロジェクトや大企業で一般的に使われる
    コーゼーションのアプローチは、大規模なプロジェクトや大企業によく見られます。組織全体で計画的な戦略を策定し、実行することが一般的です。リーダーシップと戦略的な計画が重要です。

■一方、『エフェクチュエーション=実効法』とは…

エフェクチュエーションは、不確実性の高い状況での起業家の意思決定プロセスを理解するためのフレームワークです。サラス・サラスバシー教授によって開発されたこの理論は、特に新しい市場や技術におけるビジネスチャンスを探求する際に有効です。エフェクチュエーションには5つの基本原則があります。

  1. 手元にあるものを使う(Bird-in-Hand Principle)
    この原則では、起業家は自分がすでに持っているリソース(スキル、経験、ネットワークなど)から出発し、それを基に機会を探求します。予測不可能な市場では、利用可能なリソースに基づいて行動することが重要です。
  2. 許容可能な損失を考える(Affordable Loss Principle)
    起業家は、目標達成のためにどれだけのリスクを取るかではなく、どれだけの損失を許容できるかを基準に決定を下します。これにより、大きな失敗を避けながら新しい機会に挑戦することができます。
  3. レモネードを作る(Lemonade Principle)
    予期せぬ出来事や課題を機会として捉えることがこの原則の核心です。起業家は、計画外の変化や「サプライズ」を利用して、新たな方向性や可能性を探求します。
    ※人生がすっぱいレモンを与えるなら、レモネードを作れ(アメリカの格言)
  4. クレイジー・キルトの原則(Crazy Quilt Principle)
    この原則では、起業家は競争よりも協力を重視します。他の人々や組織とのパートナーシップを通じて機会を創出し、リソースを統合し、リスクを分散します。
  5. 飛行機のパイロットの法則(Pilot-in-the-Plane Principle)
    市場や将来は予測されるものではなく、起業家自身の行動によって形作られるという考えがこの原則の基です。起業家は自らの行動で未来を形成し、事業の成果に直接的な影響を与えることができます。臨機応変に対応するとの意味です。

これらの原則は、不確実な環境での起業や新規事業開発において、従来の予測ベースのアプローチとは異なる視点を提供します。エフェクチュエーションは、可能性を探る過程で、起業家がどのように意思決定を行い、リソースを活用し、リスクを管理し、機会を捉えるかに焦点を当てています。

■要するに、コーゼーションは原因と結果の因果関係に焦点を当て、計画的なアプローチを強調します。一方、エフェクチュエーションは不確実性に対処し、既存のリソースを最大限に活用して新たな機会を見つけ出す柔軟性と創造性を重視します。どちらのアプローチも異なる状況や目標に適しており、ビジネスや起業のコンテキストに応じて選択することが重要です。

◎21世紀経営学の一大発見とも言われる起業家の新しい思考法『エフェクチュエーション』を活用してみましょう。