vol.621【経営コラム】経路依存性をぶっ壊す!(その3)

…新しい知見を手に入れる!

前回号からの続きです。

■すでに持ち合わせた知識や経験、身に付いたスキルのみでこれからの長い道のりを乗り切る必要はありません。

経営の世界でも、偉人たちによって、新しい発見や発明が日々行われています。我々凡人は、偉人たちの発明や発見を学んで、それを自社の経営に取り入れればいいだけです。

現状の社会情勢・経営環境は必ずしも良い状況にはありません。経営者としての悩みや痛みも少なくないはずです。それでも、自社を、自分を守り抜き、成長させていかねばなりません。自身が選んだ道である以上、腹をくくって臨まねばなりません。
では、どうすればよいか?この本質的な質問に対する解はたった一つ、「何をすべきかわからなければ、何をすべきかをわかるために学びましょう」です。知ることでやるべきことがわかります。失敗や不安を減らせます。楽になります。

米百俵(幕末の長岡藩)の話は有名ですが、同様に「日本の未来を切り開くためには教育への投資が重要だ」との意見に異論はないはずです。であるならば、会社を良くするためには、トップ自身の学びが何よりも重要なはずです。従業員の教育ではなく社長自身の学びです。

■消防士は火に対する知見を有しています。

故に、大丈夫、危険だ…これらを正しく判断できます。危険な火災現場に遭遇しても、最小限のリスクで最大限の対応ができるのはこのためです。仮に、無知な消防士(?)が消火活動を行ったとすると、過度に恐れて適切な消化活動ができない、または、蛮勇で無茶なそれを行うことになるはずです。いずれも正しい消火活動とは程遠い結果になります。消防士は、日々欠かさず、火に対する勉強と訓練を積んでくれています。

■社長も経営を「知る」ことが重要です。

経営には不安がつきまといます。原材料の高騰や売上不振等、不安が極限に達している方も多くいます。具体的な不安、漠然とした不安…無限の不安が心に降り注いできます。ある種の必然で仕方ありませんが、これらの不安を軽くする方法はあります。

◎人は、わからないことに多くの不安を感じるようです。
・「知る」ことで多くの不安が解消されます。
・「知る」ためには勉強が必要です。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、程度加減がわかります。
・「知る」ことで、ここまでは大丈夫、これ以上はダメ、この境界が見えます。
・「知る」ことで、経営判断の精度が向上します。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

◎「知る」ことで、「自分の知らないこと」を認識できます。
・知らないことを認識すること(=「無知の知」)は重要です。
・「知る」ことに重点的に取り組むことができます。
・「自分の知らないこと」には取り組まない、または、他人の知恵を借りる癖が付きます。
故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

■過度の心配は払しょくしましょう。チャンスを逃してしまいます。逆に、蛮勇もご法度です。会社をつぶしてしまいます。

「無知」な社長は2つのパターンに分かれます。

◆1.過度に恐れて攻めることができない社長。
リスクを過大評価して、一歩も前に進めません。
前に向かってアクセルを踏めない原因の一つは「知らない・わからない」からではないでしょうか?

◆2.蛮勇を背景に突っ走る社長。
リスクや実力を省みることなく、とにかくアクセルを踏み続けます。
過度に邁進できる理由の一つは「知らない・わからない」からではないでしょうか?

いずれも正しい経営とは程遠い結果になります。

■「知る」ことは大変大きな収穫をもたらします。

社長が経営の勉強をすることには大変大きな意味を持ちます。その経営成績、収穫に直結します。ただ、社長が勉強すべきテーマは極めて広範囲で、何からどのようにすればよいかわからない、とおっしゃる方も少なくありません。まさにその通りですが、これにもヒントはあります。

◎不安なことから勉強してください。不安を解消しましょう。

◆「無知」は大きな損失を招きます。損をします。
◆「無知」は不安の大きな原因の一つです。病みます。
「知る」ことで多くの事を解決できます。故に、賢明な社長は日々勉強に励みます。

すでに持ち合わせた知識や経験、身に付いたスキルのみで乗り切ろうとせず(経路依存)、新しい知見を手に入れながら前進していきましょう。